私たちは人と話す時、性格や感情を常に考えながら接していると思います。
でも、人の心はいくら心に精通した人でも読むことはできません。
しかし、ある程度その時の感情を理解することで、うまく関係を築けたり、トラブルを回避することができます。
そこで、人がどのような時にどんな心の状態なのかを心理学的にお話ししたいと思います。
人の性格とは
人を理解するときに性格を知る必要がありますが、そもそも性格とは何でしょうか?
私たちが使う性格という言葉は英語のcharacter(キャラクター)の訳です。
そのキャラクターの語源はギリシャ語のkarakter(キャラクティー)という「刻み込む、またはその道具」からきているそうです。
唐突ですが、木彫りのクマをイメージしてみてください。
彫る前の木がその人の気質であり、木彫りのクマがキャラクターです。
文化や環境により作り上げられた最終的な作品が性格と言われます。
心の内から外に向けて「気質(遺伝) → 性格(キャラクター) → 態度(生き方)→役割 」というイメージです。 「あの人は明るくて元気な人ね。」「優しくて穏やかな性格よ。」と私たちは人の性格を判断するときにその人の雰囲気や印象を思い浮かべます。 そして、それを決定づけている 大きな要因は言動です。 言動には自分らしさがとても表れているのですね。 上図に書いてありますが、性格は遺伝の次にあります。 性格は幹となる部分に近いため、意図して変えることはできません。 しかし、性格(キャラクター)は先天的なものだとしても、パーソナリティーは後天的に作られる説もあります。(パーソナリティーに関しては後述) なので、自分の見せ方は変えられるわけです🙈 人類は古くから性格に関して研究をしてきました。 医師ヒポクラテスらによる4種類の体液量からその人を判断したり、前回記事にも書きましたクレッチマーやシェルドンが提唱した体型から見抜く性格分類など数多くの研究があります。 そして、現代で一番主流になっているのは「外向性」「調和性」「誠実性」「神経症的傾向」「開放性」から性格の特性を見るビッグファイブという考え方になっています。 移り変わる時代とともに性格の捉え方も変化し続けてきたのですね。
パーソナリティー
パーソナリティーとは「心理学における人格を指す用語」とされています。
性格ではなく人格なんですね。
演劇で役者がつける仮面(ペルソナ)がパーソナリティーの語源で、仮面を付け替えることでその人その人を演じ分けることから、それぞれのその人らしさというニュアンスを持たれたそうです。
私たちは普段から仕事の自分とプライベートの自分は違い、似ても非なる仮面を付け外ししているのです。
男らしさ女らしさ、親として、職業柄など大量の仮面を変えてます。
仕事をしているあなたは周りからどう見られていますか?
「あの人は優しいよね。」「しっかり者だよね。」と仮面をつけたあなたを評価されていませんか?
このパーソナリティーは性格に非常に近い部分であり、性格とは曖昧な境界です。
なので、本質(性格)を隠し、振舞えてしまうのです。
長時間共にいる以外では見抜くことが難しく、相手に与える印象を変えることができるのですね。
自分らしさとは
ここまでで、「じゃあ結局私らしい性格は何だろう」と考えてしまうかもしれません。
私たちは「自分とは何だ?」と思春期に自己同一性というアイデンティティを確立する壁に当たります。
考え抜いて私はこんな人間なんだと自分を知る時期ですね。
自分とは生まれた時からその時までの愛情や経験を経て完成されます。
性格=自分 なのかはわかりませんが、近しいものではあります。
自分の内面は目には見えないもので、過ごしてきた環境があなたらしさを創ってきたので今のあなたはあなたです(ここで思考の沼にハマった)
感情と性格の関係
突然ですが、ドラえもんに登場するジャイアンの性格を思い浮かべてみてください。
どんな性格ですか?
私は「情に厚く、怒りっぽい」と思い浮かべました。
怒りは性格ではなく感情なのですが性格と感情は評価するうえで切っても切れない関係にあると言えるでしょう。
感情は人が対象に向かって抱く気持ちのことです。
心理学者のロバート・プルチックは「プルチックの感情の輪」という、基本的な感情は8種類で隣り合う感情を組み合わせた24種類があると提唱しました。
感情は脳の大脳辺縁系の一部である扁桃体で制御しています。
哲学者のプラトンは感情と理性を馬に乗っている人にたとえ、馬(感情)を人(理性)がコントロールしているとしました。
ここでいう理性は性格に近いものなのでしょう。
性格も感情も脳で考えて表現され、密接に関係しているのです。
あの人はあなたをどう思っているか?
感情は言動で表されますが、中でも顔によく出ます。
私たちも人の顔を見て感情を判断していることが多いと思います。
自然科学者のチャールズ・ダーウィンは人の顔の写真を見せ、どんな感情をしているかを聞きました。すると、悲しみ・幸福・怒り・軽蔑・嫌悪・恐怖・驚きの7つは国や文化を超えて理解されたそうです。
そして、心理学者のポール・エクマンがこの研究を進め、基本感情は人類共通と発表しました。
しかし、今では一部の違いや実験方法に疑問を持たれています。
ただ、現代ではAIで人の表情から感情を読み取ったりと、基本的な感情は表情と関係が深いことは確かです。
とある実験では、以下の部位から読み取れると考えられています。
- 目とまぶた→恐怖・悲しみ
- 鼻と頬と口→幸福感
- 額と眉→驚き
しかし、ポーカーフェイスという言葉があるように、表情もコントロールできてしまうので本心を理解することはとても至難のわざです。
感情は表情よりは読み取りやすいでしょう。
人が感情を表現した時はその人の素直な気持ちが表れています。
なので、感情から人を読み取るとその人を理解しやすいです。
その場だけの理解ですが、理解の回数を重ねると信頼も構築されますし、徐々に相手の考え方がわかり、感情への対処が出来るようになります。
感情から読み解く6つの心理
悲しい
悲しい感情は苦しい、辛いという気持ちを表現しています。
ただ、悲しみを理解するには原因や背景を理解しなければなりません。
喪失感や孤独感と関りが強く、複雑に悲観的な状態になってしまいます。
孤独感は不安を助長しストレスになる要因でもあります。
誰かがいる安心感や話を聞いてくれる人の優しさ、声をかけてくれる温かさがあると悲しみは軽減されます。たまに、「ほっといて」と拒否する人もいますが、拒否する感情も受け止め、適度な距離をとると思いは伝わるでしょう。
幸福
幸福は喜びや満足感を覚え、前向きでポジティブな感情になっています。
しかし、基本感情にはポジティブな感情よりネガティブな感情の方が多いのです。なので、長期的な満足感は得られにくいうえに、幸福な状態が続くと慣れてしまい幸福感は薄れます。
日頃からポジティブな感情を表出する人は日常の些細な幸せを感じ取る心の感度が高い人とも言えます。
怒り
怒りとは腹を立て怒っている状態です。その背景には不満があったり、ネガティブな感情があります。
怒りは複雑な感情で一概には言えません。様々な心理機構と密接にあります。心の防衛機制により怒りの感じ方、表し方も様々です。
見るポイントとしては、原因をしっかり把握することです。
そして、他人に対して怒っているのか(外罰)、自分に起こっているのか(内罰)怒りのエネルギーの向きを見ることです。
外罰の場合は敵意やいじわるとして出やすいです。
内罰の場合は自分を責めすぎてしまい、怒りが悲しみに変わってしまうので声掛けも必要になってきます。
怒りの受け止め方の違い、怒りのコントロールの方法を知っておく理解と対処が深まります。
軽蔑
軽蔑は相手を見下し、さげすむ感情を言います。
年齢や立場、性別など様々なことで見下してきます。
見下す感情の背景には、自尊心の高さもしくは自尊心低さから相手を見下して心の均衡を保っています。
ある一部の側面だけで判断する傾向があるので見下されても気にする必要はないです。
むしろ、見栄に近い不安な心境を理解して接すると冷静に対処できます。
嫌悪
嫌悪感は本能的な欲求の快ー不快の不快な状態にあります。
気持ち悪さや拒絶、苦痛を感じます。
人は不快なものを避けて選択していきます。それほど感じたくない感情でもあります。
嫌悪感を抱く原因も様々なので、原因や背景を理解し取り除くことが良い状態を作ります。声掛けもそれを意識すると良いでしょう。
恐怖
恐怖には恐れや不安、疑いなどの感情があります。
不快を感じている状態で不安な時は交感神経が刺激され興奮状態になっています。
恐怖の原因を取り除き、リラックスできる状態を作ってあげると安心感を覚えるでしょう。
また、見えないものや予測できないものに恐怖を感じてしまうこともあります。実際に起こってはいないので気持ちを理解して、安心できる声掛けが有効です。
心って複雑で自分を理解しなきゃいけないのに相手のことも理解する必要があって、とても大変ですよね。
少しでも、相手の理解に繋がって自分の心が上向くことを心から願っております
コメント