犯罪はその場所や環境によって、発生頻度が上がります。
犯罪に対する意識は年々上昇傾向にありますが、個人がどれだけ気を付けていても巻き込まれる可能性は無くなりません。
しかし、犯罪が起きにくい比較的安全な場所というのも存在します。
それは、”緑の多い場所”です。
緑の多い地域はのどかで気持ちが良い印象がありますが、なぜ犯罪抑制に効果があるのでしょうか。
それには統計的・心理的な根拠が存在します。
この記事では、犯罪が少ない環境について解説し、安全に寄与できる内容となっています。
犯罪の少ない安全な場所とは?
犯罪が少ない安全な場所とは、「緑の多い場所」です。
「緑の多い」とは、道路に街路樹が植えられていたり、緑の多い公園などがある地域を言います。
実際、都会と地方を比べてみても、都会の方が犯罪率が高いとされています。
なので、特に一人暮らしの女性や家庭を持っている親御さんは、自身が暮らす地域の緑の多さには注意を払っておきたいですね。
では、なぜそのような事が分かったのでしょうか?
緑と犯罪の関係
シカゴの大規模な公営団地開発計画をテーマにした研究では、政府の助成を受けて、イリノイ大学のフレンセス・クオが研究を行いました。
この開発計画では、敷地の片側は緑が多いのに対し、反対側はコンクリートが多く接していました。
そして、この2つの区域の犯罪発生数を調べてみると、緑の多い地区はコンクリートの地区よりも盗難が48%、暴力事件は52%少ない事が分かりました
この研究では地理的に変わらない場所で、環境によって差が出たという事が分かる研究になりました。
犯罪が起こる原因とは
そもそも、犯罪が起きる原因というのは様々なトラブルがありますが、根底にはストレスが関与していると考えられます。
森林や樹木の緑というのは、ストレスの解消効果が期待されています。
そのため、緑の多い場所ではストレスが減少し、犯罪が起きにくいのではと考えられています。
実際、緑はストレスを感じた際に上昇する体内のコルチゾールを低下させることも知られ、科学的にも裏付けられている結果となっています。
また、精神的にいい影響をもたらすとして、瞑想やウォーキングの効果も高めると言われています。
他にも色の効果で言うと、青色は犯罪や事故率も抑制できるとされ、駅のホームなどのライトにも使われています。
これらの効果が期待できる環境を、ご自身の住む地域にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
事件を目撃した時の心理学
事件を見かけた時、人はどのような心理が起こるのでしょうか?
有名なものにラタネとダーリーが提唱した「傍観者効果」があります。
傍観者効果とは「周囲の存在がある場合、介入行動を起こす確率が低くなる」というもので、3つのメカニズムが考えられています。
- 多元的無知:助けに入らない周囲に合わせ、危機的状況じゃないと判断する。
- 責任の拡散:周囲の他者が居ることで自分が必要ではないと判断する。
- 評価懸念:適切な方法が分からないなどから失敗を恐れる。
さらに、ラタネとダーリーは人の緊急時の援助行動に対して、以下のような5段階のプロセスに分類しました。
- 深刻な事態が生じているという認識
- 危機的な事態であるかという認識
- 自分に援助をすべき責任があるかという認識
- 自分に助けられるもので助ける方法を知っているかという認識
- 実行を決断する
事件を目の前にしたら、人は瞬時にこのような判断をします。
そして、決断するのです。
実際の事件として、傍観者効果の研究もとになった「キティ・ジェノヴィース事件」があります。
事件は1964年のニューヨーク、深夜の住宅街で起きました。
自宅アパート付近の駐車場にて女性が暴漢に襲われ刺殺されたのです。
- 殺害まで約30分
- 目撃者は約38名
- 通報者は0名
全員が「誰か助けるだろう」と考えて動けずにいたのです。
社会心理学にはこのような心理学が多くあります。
誰もがヒーローになる必要はないですが、考えさせられます。
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