毎年、民間調査会社が都道府県魅力度ランキングを発表するたびに騒然となり、各都道府県では”どこが一番優れているか”が話題になります。
それぞれの都道府県民としては自身の居住地の魅力がどの程度かは気になると思います。
2019年に公開された映画「翔んで埼玉」では、埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬などの県で大きな話題となり、魅力度戦争に一層の火種を起こしました。
多くのとこは「うちがどこよりも優れている」と思っています。
しかし、なぜそう思ってしまうのでしょうか?
その原因は心理学的に「内集団バイアス」が働いていると考えられます。
このバイアスは様々なシーンで働き、視野を狭めて成長を妨げてしまう原因となることがあります。
そのため、今回は「内集団バイアス」について解説し、都道府県の魅力度戦争に終止符を打つ”極論”を紹介します。
誰にでも起こる!バイアスとは?
一般に「バイアス」とは、折り目に対して斜めに切った布の切れ端の事で、そこから「かさ上げ・偏り・歪み」を指す言葉となりました。
心理学的にも「偏って見方をしている」ときに良く使われます。
論理学的、認知科学的、社会心理学的などのカテゴリに分けることができ、様々な場面で気付かないうちに働いています。
そのため、バイアスを理解していないと、偏った解釈をして本当に優れたものが歪んで見えてしまう事があるのです。
内集団バイアス(内集団ひいき)とは?
内集団バイアスとは、「自分の所属する集団(内集団)やその集団のメンバーを高く評価したり、好意的に感じること」を言います。
「うちが一番良い!」と自分の家族や同じ会社、学校などに感じたことはありませんでしょうか?
実はそこに心理的なバイアスが働いているんです。
内集団バイアスは、心理学者H.タジフェルとJ.C.ターナーが提唱したもので、実験では利害関係もなく集団を分けただけでひいきが生じたことが分かりました。
実験参加者は8人1組でスクリーンに表示された点の数を推測する課題を行いました。
そして、点の数が実際よりも 多い or 少ない の2グループに分けられました。
その後、2グループから1人ずつをペアにして、報酬をどう分けるか判断を求めると、関係性が良いわけでもない同じグループが多くもらえる分配方法を選んだのでした。
内集団バイアス(ひいき)が働く場面
ス ポ ー ツ の 試合
自分が応援しているチームや国別の試合では、自らが所属している方を好意的に感じ、熱心に応援するのではないでしょうか。その相手チームに嫌悪感を抱くことも少なくないでしょう。これは、内集団ひいきが生じているためです。
同 じ 学 校 や 会 社
例えば、発表会や部活動などでも自分の所属している方が優れていると評価してしまいがちです。
もっと細かく言えば、自分の部署や組、仲のいいグループでも生じてしまいます。
自 分 の 子 ど も
自分の赤ちゃんが一番かわいいと思う人は多いのではないでしょうか。
誰が認めなくたって、我が子が世界で一番かわいいと思ってしまうのです。
内集団バイアス(ひいき)を解消する方法
内集団ひいきは上手く使う事が出来れば、自らに有利な方向に進めることができます。
しかし、時としていじめや差別を生むこともあります。
これまでの例を見る限りでも非常に強いバイアスであることはお分かりいただけたでしょう。
では、どのようにしたら解消出来るのでしょうか。
その方法は、それぞれの集団に属している感覚を持てるようにする、協力しなければ解決できない課題を与えるなどです。
例えば、「都道府県でどこが優れているか」の解決策の極論を言えば、各都道府県魅力度で争うのではなく、国別の魅力度戦争を話題にしたり、宇宙人の襲来を想定して惑星別の戦いに考えられれば、身内の争いを減らすことができるのでしょう。
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