コロナウイルスが流行し、人に会う事が躊躇われる現代になりました。
そんな今、不要不急の用では人に会うことで印象が悪くなることもあります。
もっと言うと、人に会いに行くと嫌われるかもしれません。
非対面が感染流行期のマナーとなりつつありますが、ビジネスシーンにも影響があります。
ほとんど、オンライン電子機器で営業も連絡なども行うようになってきました。
会う機会が少なくなり、対面での礼儀やビジネスマナーを忘れてきているのではないでしょうか。
以前、「営業は足で足で稼ぐ!!」というテレビCMがありましたが、今ではそんなこともないです。
しかし、対面は希少な機会になってきたからこそ、重要度が増してきています。
そのため、効果的に対面で印象を残す必要があります。
対面のマナー?握手に隠された本当の意味
握手とは、挨拶として行われる動作で、お互いの手を軽く握りあうことを言います。
そもそも、握手の本当の意味は、「利き手を差し出すことで武器を持たず敵意や脅威がない」ことを示す動作として使われていたそうです。
また、肌が直接触れ合うことから、友好や好意を表す動作としても使われています。
そのため、握手を拒否することは相手に対する嫌悪や拒絶を意味するとされます。
握手は好かれるための行為!?握手の心理学
握手をすると相手から承認されやすい
握手のように相手に触れるだけで、人は気を許しやすくなります。
フランスでは次のような心理実験が行われました。
路上で初対面の人に2通りの方法で「小銭を貸してくれませんか?」とお願いしました。
- 普通に言葉のみでお願いした場合は、承諾率28%
- 相手の前腕に触れながらお願いした場合は、承諾率47%
他にも握手をするだけで以下の心理効果があるとされています。
- 外見がよりよく見える
- 初対面の印象がポジティブに見える
- 不安やストレスを緩和させる
ビジネスシーンなどで握手がされるようになったきっかけは、本能的にも科学的にも証明されてきたからなんですね。
握手をすると嘘をつく確率が減る
握手は人との心理的距離を縮めます。
「握手と嘘」に関しては次のような実験があります。
握手した時の印象を次の3通りで調べた。
- 相手に目隠しをして、握手せずに話をする
- 握手や話をせず、相手を見る
- 目隠しをして、話をせず握手をする
この3つでは、①と②で「形式的」「冷たい」、③だけは「温かい」「信頼できる」という評価になりました。
バスの座席にお金をわざと忘れ、それを拾った人に「そこにお金を忘れていませんでしたか?」と質問をする。
握手をした場合、「YES」と答える人が握手をしない場合よりも半数も多かった。
心理的距離を近づけることで、相手への関心が生まれ、嘘による罪悪感が生じるようになります。
このように、握手の効果を上手く使う事で、人間関係を円滑にしたり、物事を優位に進めることが出来ます。
握手で左手はダメ?国による違いは?
握手は利き手(基本は右手)で行います。
多くの方は右手が利き手であり、握手の意味を考えれば右手で行うのが無難だからです。
実際に、人口に対する左利きの日本人は約11%、アメリカ人は約1.8%とされてます。
文献等では、聞き手に関しては次のようなことが言われています。
「人種や時代を問わず、人類のほぼ90%が右ききなのだ。」
引用:『「右と左」の不思議がわかる絵事典 自然界は謎だらけ!』(富永裕久著 PHP研究所 2006)
「右利きに比べて左利きはつねに少数派で、その割合は0.2%から31%までばらついている。漢字を使う文化圏では少ない割合(1%以下)になる傾向がある。」
引用: 『世界大百科事典 23 改訂新版』(平凡社 2007)
「最近では左利きの矯正を強要しなくなり、自然な利き手の割合がわかるようになったが、その結果、右利きは約88-90%、左利きは約10-12%と言われている。」
引用: 高橋正憲著「スコープ利き手に関する一考察」(『総合リハビリテーション 38巻8号』p795-800 医学書院 2010)
ボーイスカウトという若者を中心とした運動教育の団体では、「盾を持つ左手の握手は相手へ友好と信頼を表す」とされている。
スポーツでは試合前に握手をするなど、握手は国際的にも共通な文化であることが分かります。
ただ、国や団体によっては複数の方法や意味があるとされています。
対面のメリット とデメリット
対面でのメリットとデメリットは、次のようなものが考えられます。
- 相手とのコミュニケーションが取りやすい
- お互いに内容の説明と理解がスムーズにできる
- 間違いが無く、営業効率がいい
- 事前準備がラク
- 安心感がある
- 移動時間や交通費が掛かる
- 営業や訪問を嫌う人がいる
- スケジュールを調整しなければならない
- 気を遣わなければならない
- 心身が疲れる
特に対面において「安心感がある」というメリットは大切です。
今までは多くの場面において、会わなくてもいいけど安心感を得るために、人に会いに行く事がありました。
今ではそれが感染に対する不安感に繋がり、ITの進歩で対面以上のメリットも得られるようになってきました。
カリフォルニア大学のアンドリューフラナギンによると、男性は「直接会わないと人間関係が成り立たない」という思い込みを強く持っているそうです。
女性は、会うか会わないかは気にしておらず、メールでも電話でもやり取りをしている事が大事だと考えていると言われています。
男性は対面で、女性にはこまめな連絡が大事だという事ですね。
対面は日本人には向かない!?
日本人は神経症的傾向が強い民族です。
「優しい」「真面目」「几帳面」「綺麗好き」、そして物事を「コツコツ続ける」「細かい作業が得意」「創造よりも改良が得意」という面は神経症的傾向の長所が影響しているとも言えます。
傾向 | 特徴 | |
神経症的傾向 | ネガティブな要素に反応しやすい 落ち込みやすく、感情面や情緒面で不安定な傾向 | 感受性豊か ストレス、不安に敏感 衝動的 |
そんな神経質症的傾向の日本人は緊張をしやすいです。
そのため、対面よりも非対面の方が向いているとも言えます。
さらに、人はメールでのやり取りは「口が軽くなる」とも言われているので、対面よりも情報を得たり、相手と親密になる事が可能です。
英国オープン大学のアダム・ジョンソンは、同性同士の大学生をペアにし、対面であるいはコンピューター上でのやり取りを観察しました。
その際の、プライベートな話題を切り出した回数が、対面は0.7回、コンピューター上は3.1回でした。
また、感染症が流行し面会が中止となった福祉施設などでは、お互いの関係性が希薄になってきていることも問題視されています。
現在は、面会の方法もリモートで行ったり、フィルム越しに面会したりするところも増えてきています。
どんなにITが発達して時代が変わっても、人同士の精神的なつながりを忘れない。
そんな関係性はやっぱり安心しますね。
非対面・感染症対策によるビジネスへの影響は?
現代では、握手の文化が減っています。
2019年から起こったコロナウイルス感染症が追い風となり、非対面のコミュニケーションが主流になりました。
実際に、コロナウイルス感染症によりフランスやイギリス、ドイツ、台湾などでは大統領が握手をしないよう勧奨しており、日本でも同じように勧めています。
2021年3月7日~12日で行われた国際会議「第14回国連犯罪防止刑事司法会議」では「握手や名刺交換などの接触禁止」を掲げて各国の主要人物を招いて開催しました。
このように握手を避けるなか、その代替案としてグータッチ、肘タッチ、足タッチなど様々なことが行われました。
また、インターネットの発達により、商談や会議も非対面で完結させることが増えました。
非対面では「映像」「声」「文字」どれが一番有効!?
私たちが相手に何かを伝えたい時、相手にとって一番良い方法を考えなくてはいけません。
耳が悪い人に言葉で説明したり、目が悪い人に文字の細かい説明書を渡すのは悪手であることはわかると思います。
さらに、人には特性として視覚や聴覚での記憶・理解にも差があります。
例えば、学校の授業内容は「黒板の文字」か「先生の話」かで記憶力が変わる人もいるでしょう。
伝える方にも気遣いや苦労が必要です。
心理学的に話を上手かつ効率的に伝え、信頼と成功を掴む方法があります。
見た目が9割!?印象付けるなら視覚に訴える!
人それぞれに覚えやすい方法というものがあります。
例えば、FAXやメールで文章を送ったが意味が通じず、電話や会って話をした経験は無いでしょうか。
他にも、絵を書いて説明してほしいという人もいます。
情報を共有したり説明するには写真や動画などを見せて、視覚に訴える方が圧倒的に伝わりやすいです。
なぜなら、「人間は視覚的動物」だからです。
では、「今あなたが居る場所を赤の他人へ言葉で説明」することができるでしょうか?
多くの人が、伝えるのは難しく必死になると思います。
それよりも、居る場所の写真や地図を渡した方がすぐに理解してもらえるでしょう。
実際に、以下のような研究もあります。
カナダにあるショップ大学のリオネル・スタンディングは、以下の視覚的記憶実験を行いました。
・1万枚の飛行機や犬など日常的な写真を1枚につき5秒間見せる。
・1万語の単語をひとつにつき5秒間見せる。
結果、単語は1000語を超えると、記憶できる内容は62%まで落ちましたが、写真で見せた場合はほぼすべての情報を覚えることができたと言います。
スタンディングは、❝仮に100万枚の写真を見せても73万1400枚は思い出せるだろう❞と述べています。
人は文字よりも映像の方がはるかに記憶しやすいのである。
見た目で「損する人・得する人」の必勝法
「人は見た目が9割」という言葉がメジャーになりましたが、人と会った方がいい人とは、見た目やユーモア・センスに自信がある人でしょう。
しかし、そうでもないと思う人は、文章で勝負すると安定的に好感度を高めることができると言います。
ヴァージニア大学のステファン・ウォーチェルは好かれてる人(とある人気キャスター)と嫌われている人(とある政治家)に河川の汚染は住民が責任を負うべき」という説得をさせました。
その時の手法は「テレビ」「ラジオ」「文書」の3種類です。
結果、15点満点でメッセージの受け入れ度(賛成度)を測定すると次のようになりました。
「賛成度」 | テレビ | ラジオ | 文書 |
嫌われている人 | 3.68点 | 5.74点 | 6.37点 |
好かれている人 | 10.16点 | 8.50点 | 7.20点 |
数値で見えるように、「好かれている人は対面での説得が一番効果的」という事が分かりました。
そして、注目すべくは文書の得点の高さです。
ここまで文字よりも写真や対面を支持しましたが、文書では好感度に関係なく、安定して影響を与えることができています。
相手に「好かれているかわからない」「嫌われている」と思う時は対面を避けた方がうまく事を運ぶことができるのではないでしょうか。
今の時代は、上手にコミュニケーション方法を選択していくのも大切な手段です。
リモートでも使える!初対面で人に好かれるコツ3選
人に好かれる人は好待遇を受けやすいのは事実です。
リモートの時代には以前よりも対面での好印象を得るのが難しいです。
映像のみでは見た目の印象が大部分を占めてしまいます。
しかし、好印象を与える方法は容姿や清潔感だけとも言えません。
実際に、どんなに見た目が良くても「相性が合わないな」と感じたこともあるでしょう。
まさに、その相性を良いと思ってもらうことが大事です。
そうすることでその後、長期的にも好印象を抱かれやすいです。
9つ以上の質問をする
初対面では多くの質問をする人が好かれます。
多くの質問をする人には「私に関心を持っている」「話しやすい」「聞き上手」などの印象を抱きやすくなります。
また、相手から多くの言葉を引き出すという事も大切です。
嫌いな人と口を利きたくないのとは逆で、無意識に「好意があるから話をしている」と思ってもらえることもあります。
実際に以下のような研究もありました。
米国のマサチューセッツ州にあるハーバード大学のカレン・ファンは面識のない398名に199組のペアを作り、「お互いに良く知り合うことが目的」とし、15分間自由に会話をさせました。
ただし、ランダムに選んだペアの一人には次のどちらかを指示しています。
①「少なくとも9つの質問を自分からしてください」
②「自分からする質問は、多くても4つまでにしてください」
会話が終了し相手への行為を7点満点で尋ねると以下の結果になりました。
相手からの好意 | |
たくさんの質問をした人 | 5.79点 |
質問を控えた人 | 5.31点 |
このように、質問した数が多いほど好印象が得られています。
質問の仕方にもコツはあります。
質問は「好きな食べ物は何ですか?」のような「はい」か「いいえ」で終わらないオープンクエスチョンを心がけると良いでしょう。
さらに、出来るだけ相手にとってポジティブな回答になるような質問をしましょう。
例えば、趣味や好物など好きなもの話などです。
良い質問は細かな観察と聞いた話の中から生まれます。
相手の反応や興味に合わせて質問ができるとさらに好印象です。
ただし、大まかに質問の内容は考えておくと焦らずに済むでしょう。
メガネをかける
メガネは知的に見せるアイテムの一つです。
勉強できる人や賢い人はメガネをかけているという思い込み(ステレオタイプ)を多くの人は持っています。
ビジネスや恋愛においても知的要素は魅力や信頼として求められる要素とされています。
実際にメガネは知的に見えるのかという研究もありました。
オーストリアにあるウィーン大学のヘルムト・レダーは「メガネ=知的」は本当か調べました。
「メガネなし」と「縁なし」、「縁あり」の3種類を顔撮影し、20~32歳までの男女に評価してもらいました。
結果、「縁なし」メガネは知的な印象を与えることが分かりました。
さらに、「メガネは魅力を下げるか?」についても調査しました。
結果、メガネをかけたからと言って魅力に影響することはありませんでした。
この研究から、太い縁のおしゃれメガネではなく、縁なしもしくはステンレスや薄い縁が有効でしょう。
メガネというとアニメやドラマでも「暗い・物静かな人」がかけてるという印象があります。
そのせいで、メガネをコンプレックスに感じる人もいるでしょう。
実は見た目だけの評価ではそんなことはなかったのです。
ということは、メガネ以外の性格的な要素がそのように見せると考えられます。
他の研究では、メガネをかけると「自分は頭が良い」という思い込みが働くこともわかっています。
実際には知力はあがりませんが、メガネは自信を持つにはもってこいなアイテムですね。
距離感と姿勢を心がける
リモートで使えるのは会議や面接で好感を与えるテクニックになります。
例えば、テーブルを挟んで面接する場合、手は相手に見えるようすると安心感を与えます。
これは、手が隠れていると見える部分が少なく不安を与えるためだと言われます。
他にも、話を聞く姿勢が前傾である方が、好印象を与え緊張感を和らげる効果があります。
以下は参考文献です。
また、リモートには使えませんが、人の物理的な対人距離というのは興味関心など心の距離を反映しています。
例えば、講義を受けているとして教壇に近い人と遠い人ではどちらが教員に好印象を持たれるでしょうか?
人は好きだと思えば近くに座るし、嫌いであれば遠くに座ります。
この心理を逆手にとって対人距離を縮めることで、心理的距離を縮めることができます。
これは、心理学で「ボッサードの法則」と言われます。
アメリカの心理学者ボッサードは婚約中のカップル5000組を対象に物理的距離について調査すると、離れているほど結婚に至る確率が下がったと報告しています。
これらのように、初対面ではいろいろな要素から印象を判断されます。
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