あなたから見たお年寄りは「かわいい」ですか?
この記事では、「お年寄りがかわいく見える謎」について考えてみたいと思います。
かわいく見えるお年寄りの見た目
ある年齢を超えたお年寄りは、世間一般的な感覚から見るとかわいく見えると思います。
それには、次のような特徴が考えられます。
お年寄りの特徴
- 背中が丸くなる
- 身長が縮む
- 顔が小さくなる
- 頬は垂れ、目じりにはしわができる
- 歯が少なく、独特でゆっくりした喋り方になる
- 動きは緩慢でゆっくりしている
また、高齢期以外に、人間が見た目の特徴だけでかわいいと言われる時期として、赤ちゃんの頃が挙げられます。
動物行動学者のコンラート=ローレンツは、ヒトだけでなく生物の赤ちゃんがかわいいとする理由に次のものを挙げています。
赤ちゃんの特徴
- 体より頭の割合が大きい
- 顔よりも頭蓋が大きい
- 目が大きく、顔は丸い、顔のパーツは下に位置する
- 鼻と口は小さく、頬が膨らんでいる
- 身体がふっくらしていて、手足がずんぐりとしている
- 動作がぎこちない
お年寄りの特徴と赤ちゃんの特徴を比べるとどうでしょうか。
成長した身体は、年とともに赤ちゃんの特徴に似てきてしまう事がわかります。
赤ちゃんの身体的特徴は「ベビーシェマ」と言い、11か月頃が一番かわいく見えるそうです。
日本にはかつて社会現象を起こしたご長寿アイドル「きんさんぎんさん」がいました。
次の動画では、コメント欄を見ると分かるように「かわいい」「癒される」といったコメントが見受けられます。
動画内の記者も癒されたのか笑顔が多く、でれでれした話し方になっているのがわかります。
お年寄りの性格はどうなる?
「年を取ると性格が丸くなる」という定説をよく耳にします。
果たして、この説は本当なのでしょうか?
心理学では、この説は正しいと言えます。
その理由に、年を取るにつれてポジティブになり、幸福感が高まるとされているからです。
詳しくは次の記事をご覧ください。
しかし、上の記事は外国の高齢者を研究の対象にしています。
なかには、頑固でせっかち、怒りっぽく憎たらしいお年寄りも存在します。
調べると「日本の高齢者は不機嫌だ」とする記事も見られます。
次の記事では、その背景に日本人高齢者の「孤独感」と「承認欲求」があるとされてます。
生理学的には、年を取ると脳の感情を司る前頭葉が委縮するので、感情のコントロールが難しくなります。
また、脳血管障害や認知症などを発症し、物事に対する理解や制御が困難になるので、拒否的な言動や怒りっぽくはなるでしょう。
結果的には、「穏やかになる人もいれば、怒りっぽくなる人もいる」と考えられます。
「かわいい」と思う側の心理
高齢者の心身の特徴から「年を取るとかわいくみえる人がいる」ということが考えられました。
ただ、私は他にも好意的に感じてしまう理由があると考えます。
それは、高齢者に「敵意(脅威)がない」ことだと思います。
赤ちゃんの頃は、お世話が必要で、守ってあげないといけませんでした。
歳をとると同じで、お世話が必要になって、誰かの助けを必要とします。
元気で自立したお年寄りと、よぼよぼなお年寄りを比較したらどちらによりかわいいという感情が湧くのでしょうか。
お世話を受ける高齢者と受けない高齢者ではかわいさの違いもあるとは思います。
このように、見る側の認識も影響するのだと思います。
医療介護職は、過去に接したかわいい高齢者と似ていたり、接する回数が多いなどによっても好意が変わってくると思います。
「お年寄りにかわいいは失礼」と言われることもありますが、特徴的にはかわいく見えてしまうのです。
かわいいと思う事は自然で、「かわいい」をその人がどう捉えるかによります。
ですが、プロとしてはかわいいを”弱者”として扱う事はいけません。
相手の自立尊重を支える倫理観を忘れないようにしましょう。
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