学校や社会に出て「もっと笑顔で話しなさい」と教えられてきました。
しかし、この教えこそがストレスを生む原因かもしれないのです。
この記事では、ストレスを理解して働きやすい心持ちと笑顔のメリットをお伝えします。
笑顔を見せない国がある
笑っていないと仲間外れにされ、社会では評価を落とすこともあり、半ば笑顔を強制されるような社会で育ってきました。
実際に笑顔は人間関係を円滑にして、売り上げも向上するという側面があるからこそ、そう教えられてきました。
集団で生命や社会を維持してきた日本は特にこの考えに影響を受けています。
さらに、アメリカでは笑顔の接客をルールにしている場所もあるそうです。
しかし、笑わない国もあるという事をご存じでしょうか?
それは、ロシアやフランスなどです。
ロシア人やフランス人はサービス業で働いていてもあまり笑顔を見せません。
そこには笑顔に対する考え方と国民性の違いがあります。
ロシア人は、笑顔の作り方が違い、日本で言う笑顔は油断や下品、無礼と捉えられることもあるそうだ。ロシアでは学校で「なんで笑っているんだ」としつけられることもあるそう。
もともとの生存環境や宗教などの価値観、寒い気象性なども影響していると考えられています。
フランス人は笑顔の接客するというルールがなく、個人の意図で表情を変えています。
なので、接客中も笑顔は見せても見せなくてもよく、お客さんもそれを気にすることはありません。
笑顔がストレスになる理由
米国のペンシルバニア州立大学のアリシア・グランディは「接客中に笑わないフランス人」と「笑顔がルールのアメリカ人」のサービス業で働く人たちを比較する研究を行いました。
その結果、「笑顔がストレスになっている」という事が分かりました。
私たち日本人も怒っていたりつらい時に笑顔を振る舞うのは苦痛であると体感的にも理解してます。
その結果が分かった研究であると言えます。
では、明日から笑顔で働くのをやめていいかと言えばそうではありません。
実際に日本人がフランスに旅行へ行ってレストランで不愛想な対応を受けたとしたら、違和感や不信感を感じるでしょう。
そういう風習なので、強要することは出来ません。
自分が何かに対して嫌悪感を抱いたなら、それは誰かにとっても嫌なものでしょう。
ただ、このことを理解して感情を偽ったり、無理をすることがストレスなんだと知るのは大切です。
笑顔じゃない時間を作ったり、息抜きを増やしたりして負担軽減に繋げましょう。
そして、誰かが違うからと言ってすぐに自分の考えで人を判断しないようにすることも大事ですね。
感情の仕組み!笑顔のメカニズム
人はなぜ笑うのでしょうか?
私たちは、喜んだり悲しんだり怒ったりという感情をもった生き物です。
これらの基本感情は生物が生き延びるのに必要なものとして心も発達してきました。
仕事で嫌なことがあっても笑顔で乗り切り、悲しくたって笑って過ごしています。
誰もが表情の仮面をうまく利用して生きています。
でも、ごまかすことに慣れた私たちは、感情をコントロールできているのでしょうか?
それには感情の仕組みを知る必要があります。
感情の仕組みを理解すると、自分の心の整理や感情を理解に役立ち、相手の心の不調や気持ちがわかるようになります。
楽しいから笑う? 笑うから楽しい?
感情のメカニズムには有名な古典的な説が2つあります。
「キャノン=バード説(中枢起源説)」と「ジェームズ=ランゲ説(末梢起源説)」です。
「キャノン=バード説(中枢起源説)」
アメリカの生理学者キャノンがバードの研究に基づいてこの理論を提唱しました。
キャノン=バード説は一言で言うと「楽しいから笑う」というものです。
楽しいという感情があるから笑うという中枢神経系を軸に考えたものです。
この認知には4つの過程があります。
- 楽しいと思える事を体験する
- 脳の視床、視床下部を通る(情報の頭と身体への分岐点)
- 大脳皮質に情報が伝わる(感情を認知)
- 視床下部から骨格筋や神経へ作用(表情やリアクション)
ジェームズ=ランゲ説(末梢起源説)
ジェームズとランゲの二人はほぼ同時期に独立して理論を提唱し、まとめて呼ばれています。
ジェームズ=ランゲ説は一言で言うと「笑うから楽しい」というものです。
この過程には3つがあります。
- 楽しいと思える事を体験する
- 楽しいと思える行動をとる(生理的変化)
- 大脳皮質に情報が伝わる(感情を認知)
笑顔のメリットは?笑うだけで免疫上がって幸せになる!?
笑顔は強制されるとストレスになります。
しかし、以下のように笑顔には多くのメリットがあります。
- ストレス解消になる
- 自律神経を整えてリラックス
- 免疫力がアップする(NK細胞の活性化)
- 表情筋を鍛えシワたるみの予防になる
- 人間関係を良くする
- 幸せホルモン分泌で気分も良くなる
笑顔は疲労を軽減する
笑顔は退屈であったり、苦しい作業の際に疲労を軽減する効果を発揮します。
実際に以下のような研究がありました。
オランダにあるアムステルダム大学のフィリップ・フィリッペンは大学のキャンパスで男女の実験者を集めました。
内容は実験者の半数には笑顔で、もう半数にはしかめっ面で最大心拍数の50~60%(20代一般人で100~120回/分)で自転車を漕いでもらいました。
その後、「どれくらい気持ちよさを感じたか。」「どれくらい疲れたか。」を質問しました。
結果は以下のようになりました。
気持ちよさ(±5点) | 疲労感(0~20点) | |
笑顔 | 2.91点 | 11.53点 |
しかめっ面 | 2.12点 | 12.06点 |
結果は、笑いながら漕いだ方が気持ちが良いという事が分かったのです。
数値は僅差ですが、心理学実験では有意な差とされています。
科学的にも笑顔は脳内に3つのホルモンを分泌すると言われています。
- 「エンドルフィン」:脳内麻薬とも言われる強い幸福ホルモン
- 「ドーパミン」:やる気や集中力を高めるホルモン
- 「セロトニン」:心を落ち着かせリラックス効果を持つ幸せホルモン
運動時にはセロトニンが増加するとも言われており、人が極限に疲れた状況では身体の防衛反応として癒しのホルモンが分泌されるのでしょう。
それを、予防に活用したのが今回の実験とも言えます。
長生きする
いつも笑顔でいる人は長生きします。
長寿の方はよく笑っていませんでしょうか?
1990年代に国民的アイドルとなった双子の100歳越えアイドル「きんさん、ぎんさん」。
このお二人もユーモラスで笑顔のシーンが良く見られていました。
ちなみに、ぎんさんの4人娘もよく笑う方で4人全員(幼くしてなくなった次女様を除く)が90歳を超え、親子2代でご長寿となりました。
実際に以下の研究もありました。
米ミシガン州にあるウェイン州立大学のアーネスト・アベルは、1950年以降に活躍したメジャーリーガーのプロフィール写真を分析しました。
写真は「笑顔なし」「部分的に笑顔」「満面の笑顔」の3つに分類しました。
すると、満面の笑みで写真に写っていた選手は長生きしている事が分かりました。
笑顔でいることが多い人は冒頭で述べたメリットを受けやすいです。
そのため、笑顔が長生きに関係するのは理解できますね。
プロフィール写真に笑顔で写ろうとする人は明るい性格で笑顔の回数も多いことが想像できます。
笑顔のコツは口角を上げ、目も笑っている表情にすること。
笑顔であることを自分の脳に認知させたほうが効果的でしょう。
ぜひ、これらを活用して健康的な日々を過ごしましょう。
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