身内での集まりや仕事などで高齢者と接した時、話しかけても気付いてもらえず、言ってることを理解してもらえなかったりした経験はありませんでしょうか?
それは、いじわるをしている訳ではありません。
耳が遠いのです。
ですが、ぼそっと呟いただけなのに反応する地獄耳の方もいます。
そんな時は本当に地獄の使者かと思うくらいびっくりします。
耳が遠いのになぜでしょう?
そこにどんな理由があるのかを考えてみたいと思います。
この記事は、コミュニケーションのイライラが減らし、おじいちゃんやおばあちゃんとの関わりが良くします。
1.加齢による聴覚の変化
20歳ころから聴覚が低下し、高い音が聞こえにくくなります。
聴覚は20歳を過ぎたころから低下をはじめ60歳を過ぎると日常会話レベルの聴力も低下し、コミュニケーションに支障をきたすとされています。
聴覚は高音域(2,000Hz以上)から低下するため、比較的低い音は聞こえやすいです。
ちなみに、Hz(ヘルツ)は音の1秒当たりの振動数で20~20,000Hzまでが人の限度。
話し声が約200Hz~4,000Hzくらいの範囲です。
耳が聞こえにくい状態は、難聴と呼ばれます。
難聴は「音が伝わりにくい伝音性難聴」と「音を感じにくくなる感音性難聴」の2つに分けられます。
伝音性難聴の原因は耳垢や中耳炎などで伝える構造に支障をきたすものが多く、感音性難聴は神経や細胞の変性が原因で、加齢による老人性難聴は感音性に分類されます。
老人性難聴は加齢以外の原因が無いもので、左右対称の難聴と言われています。
これらの変化から老年性難聴は「一部が聞こえにくくなる」のです。
2.地獄耳の本当の正体
少し難しい話をしてきましたが、加齢による変化が分かると理解に繋がります。
地獄耳の正体は「コソコソ話だから聞こえる」です。
え? なんで?
加齢から考えるとコソコソ話の大概は低い声で少しゆっくりでつぶやくことが多いと思います。
高い音から聞こえなくなるので、低い声の悪口は他よりも聞こえやすいのです。
しかし、他にも2つの理由があると考えます。
①「短い単語で理解しやすい」
例えば、「バカ」や「アホ」とかの単語や「うるさいな」などネガティブな言葉は短い物が多いです。
また、「嬉しい」「悲しい」とか気持ちを表す感情語も短いです。
そうすると、加齢による脳機能の低下で理解力が落ちたとしても2文字程度の言葉は理解できてしまいます。
②「自分に関係する言葉」
心理学では、「カクテルパーティー効果」という心理作用があります。
いろいろな人が話していても自分に関連する言葉(音声情報)を無意識に聞き分けるというものです。
高齢者は加齢によって出来ない事も増え、迷惑をかけていると思っている事が多いです。
そのため、「邪魔」や「迷惑」などの言葉にも敏感になっているのでしょう。
相手の反応を気にしているので、表情や態度から気持ちを察したりもします。
加齢以外にも性格、耳や脳の病気で音が一部だけ聞こえたり、聞こえすぎるという事もあるのですべてに共通するものではないでしょう。
3.高齢者と円滑に話をするために
地獄耳や都合の悪いことを無視するという原因、それを逆手に取ると円滑にコミュニケーションがとりやすいという事になります。
その原則は「低い声でゆっくりと、単語を意識して正面から話す」という事です。
高い音は聞きづらいので低く、早口は理解が大変なのでゆっくり、分かりやすい単語で、口やジェスチャーを使って言葉の補足をするのが大事です。
お年寄りは動きが緩慢で時間が掛かってしまうものなので、急ぐ気持ちがでてしまうとつい早口になってしまいます。
相手のペースに合わせて心のゆとりを持ちましょう。
また、高齢の方は聞き取りやすい利き耳に手を当てて聞くのも有効です。
耳は音を拾う役割をしているので、手でその機能を増幅してあげましょう。
マスクはお年寄りとのコミュニケーションには良くないです。
口元が隠れて、声がこもってしまうので話が通じにくくなります。
これらを理解して、より良い関係性の維持やイライラの解消に役立てば幸いです。
最後に、難聴にならない為には大音量を若いうちから避けることが大事になります。
ぜひ、一緒に気を付けて行きましょう。
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