テレビに映るアイドルを見て「みんな同じ顔してる…」と思ったことありませんか?
さらに、外で若い子や学生を見かけても「みんな似てる」と感じたり、人の顔と名前を覚えられなかったりした経験あるのではないでしょうか。
若い子の顔を判別できないのは加齢の始まりとよく言われたりします。
心理学には「チアリーダー効果」という社会心理バイアスがありますが、じつはこのバイアスがかかっているせいでアイドルの顔が判別できないのかもしれません。
このバイアスを知ることで、顔と名前を覚えられるようになり、話題の会話についていけるようになります。
チアリーダー効果とは?
チアリーダー効果とは1人でいる時よりもグループでいる時の方が、魅力的に見えるという現象です。
例えば、かわいい人やイケメンの集団と一緒に居ると魅力度が引き上げられるのです。
この効果の由来は、アメリカのテレビドラマ ‟How I Met Your Mother”の中の「チアリーダーたちは1人ずつ見るとそんなに綺麗ではないのだけれど、みんなで集まっているととても綺麗に見える」というエピソードにちなんでつけられたそうです。
チアリーダー効果のメカニズム
ドリューウォーカーとエドワードヴァルは以下の実験を行いました。
実験参加者へ人物写真を見せ、魅力を評価する実験を行いました。
評価対象者1人の「単独写真条件」と他同性2名の人物と一緒に写っている「グループ写真条件」を設けました。
2条件の評価の結果、単独写真よりもグループ写真の方が魅力が高まりました。
この効果のメカニズムは次の3つが考えられています。
- 複数の顔を同時に見せられると、特徴を平均化して認知する。
- 個人の顔の知覚は平均値に引き寄せられる。
- 平均化されると実際のものよりも魅力が高まる。
人は多くの視覚情報を見ると、まとまった特徴に変換して認知する傾向があり、これをアンサンブル効果と呼びます。
このような知覚は、顔などの複雑な物体でも情報を素早く認知するために備わる脳の認知機能です。
それにより、平均化した水準にひとりひとりの顔が補正され、魅力的にうつると言われています。
ここで様々な特徴を平均化した顔は、多くの人から魅力的に見えることが認められています。
また、曖昧さや誤差を多く含む顔の方が、明らかに違う顔よりも補正効果が高まるそうです。
「特徴的な顔だねぇ」と言われる人よりは一般的な顔つきの方が補正しやすいのです。
チアリーダー効果の性差
他の指摘では、このチアリーダー効果には性別によって差がある事が分かっています。
女性は、女性の顔よりも男性の顔を評価するときに効果が顕著になり、男性は効果に対し性別に差が無いとされています。
女性は、女性の顔よりも男性の顔の方が覚えにくいと言われています。
そのため、女性はより顔の補正をするために、チアリーダー効果が大きく表れているのではないかと考えられています。
顔を覚えるコツ
記憶力を競う「メモリースポーツ」の日本チャンピオン経験者で、「記憶術」 に関する書籍を執筆している平田直也さんは、「人の顔を覚えるコツは、とにかく自分の記憶と関連性が高い顔だと認識できるかどうか」と言います。
記憶に関しては以下の記事もご覧ください。
そもそも、アイドルの顔が同じに見えると言っている人は、アイドルや顔に関心がないことが多いのではないでしょうか?
それでは、覚えられず平均化されてしまうのは頷けます。
逆にとても熱心なファンで、「アイドルグループのこの人が好き」っていう人はチアリーダー効果を越えて、ひとりひとりに注意を向けられているので、覚えていられるのではないでしょうか。
相手への関心度も記憶力に直結しているので、覚えていないという事は関心が無いのかもしれませんね。
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