えんぴつの削りカスを食べた話

介護記事
西本
西本

こんにちは!
介護健康心理カウンセラーの西本です。

今回は衝撃的なタイトルですね。
利用者さんがえんぴつの削りカスをかつお節だと言って食べたという話をします。

医療・介護職をされている方々はこの部分だけを見てある程度想像ができますね。
そうです。認知症が原因の異食行為です。
今回の話しは認知症を知る、介護の一事例として見ていただけたらと思います。

ここではプライバシー配慮のため事実との関連性は否定しておきます。
まずは簡単に疾患の解説からしてから原因の考察や個人的見解を話します。

認知症とは

 現在、認知症という言葉を耳にすることも多くなってきました。
簡単に言うと認知症とは脳の細胞が死んだり萎縮して機能が働かず生活に障害や支障をきたす症候群です。
加齢による物忘れとの代表的な違いは「体験そのものを覚えているか」という部分です。
ごはん食べたのに「食事の内容を忘れた」もしくは「食事をしたことを忘れた」の場合、後者が認知症である可能性が高いです。
認知症の原因は明確ではありません。そのため、認知症は病気ではなく症候群で、例えるならざっくりとした「風邪」の診断に近い状態に近いです。
認知症には大まかに4つの種類がありアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。
それぞれの認知症は脳内の器質や物質の蓄積によるものであることが言われています。
詳しくは認知症の種類によって症状も異なるのですが、中核症状と周辺症状というものがあります。
中核症状が人や日時、物事などの記憶障害、理解・判断力の低下、行動面の障害があり、周辺症状は不安や不眠、暴言暴力、歩き回るなどです。
ここにきてタイトルにあるえんぴつの削りカスを食べる行為(異食)は周辺症状と言えます。

異食の原因

 正直なところなんで食べたのかは本人に聞いてと思いたくなるんですが、食べたことも食べるに至ったことも明確でないことが多いので仮説を立てて考えるしかないんです。
だいたいの異食行為の主な原因は記憶障害、空腹、不安やストレスなどです。
食べ物か判別がつかず食べてしまう、お腹がすいたから食べた、不安やストレスで判断不能・パニックになり口にしたなどです。
現場では視覚が悪く食べ物だと思って食べたなどの視覚障害などもあります。
今回のケースはどうでしょう。
今まで食べ物の判別はついていた場合の異食だと何に当たるでしょうか。
食事の時間に近かったこともありお腹が空いていたのでしょうか?
常時、焦燥感や不安感が強かったのでつい口にしてしまったのでしょうか?
考えられる多くの情報は伏せていますが、皆さんだったらどう考えますでしょうか。

個人的な見解

 状況から考えた背景要因は空腹感と不安感だと思います。
原因としては食事の準備で箸を用意され、テーブルの小さなゴミ箱(紙製)に削りカスがあったことでしょうか。

もしも、高級なお店で削りカスをかつお節だとごはんに乗せて出されたら私は食べしまうと思います。
なんなら、ホッカホカの湯気に醤油をまぶすのを想像したら美味しそうにも思えます。

話を戻しますが、認知症と精神疾患や精神症状との結びつきは強く、精神疾患が併存している場合も多いです。
認知症は精神科でも扱われますが、今までの歴史や症状と精神の結びつきが強いため精神科で診られています。
なので、認知症を考えるうえで精神面に目を向けることは大切です。

私がその利用者さんを見ていて日常の中で気になった行動があります。
それは「わざと失敗して見せる」という点です。
歩行時は職員がそばにいるとわざと転び、動作の促しには出来るのにわからないと答えがち。
この行動はどう考えますでしょうか。
ただの疲労?それとも依存?記憶障害?構ってほしいだけ?

認知症では失敗経験が多く、記憶障害で自分がわからなくなり自尊心も低下していることが多いです。
「わざと失敗をする」という行為は認知症の方に限ったことではなく、子どもや学生、社会人など全世代に当てはまります。
その心理的背景には自ら失敗して緊張感や不安を減らし、安心感を得るということが考えられます。
特に自尊心の低下した方や極度のプレッシャーに弱い方は取りがちな行動です。
他にも構ってほしいと考え、失敗することで心配してもらえる、手厚い対応を受けるなどを学習することもあります。
行動主義の心理学者、スキナーのオペラント条件付けで例えられます。下記の流れです。

自発的行動を起こす → 報酬や罰がもらえる → 行動頻度が増減する

子どもの養育の際にABA(応用行動分析)というかかわり方があります。
適切な環境を整えてあげるかかわり方ですが、その考え方の元はオペラント条件付けです。
例えば、次のような場合がわかりやすいです。

【行動の消去】
嫌なことがあった → かんしゃくを起こす → 無視する → 行動が減る
【行動の強化】
嫌なことがあった → 我慢した → ほめる → 我慢ができる

これらの心理的な学習要因があって失敗行動が増えてしまうのでしょうか?
考えすぎかもしれませんが、小さな細かい結びつきがあって大きな行動として表面化することは往々にしてあります。

育児や教育、医療、福祉などの現場ではこのようなことが日々起きています。
いろいろな視点で見ると意外な発見もありますね。
ぜひ、適切な見方で快適な環境に繋がることを願っています。

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