【実話】介護施設で暴れた元格闘家の利用者

介護記事
ユースティティアさん

こんにちは。介護健康心理カウンセラーの西本です。

今回は介護に関する実体験のお話です。

暴力をふるう高齢者

bBearさん

 以前、私が働く施設に独歩の60代男性が入所しました。
その方は事前情報もなく急遽、近隣のクリニックから施設に入所されたのです。

多床部屋に入所した男性は不機嫌な様子で過ごしていました。

施設の扉には電子錠がかけられていますが、何度も扉を開けよう叩いて蹴るを繰り返します。

廊下を行き来して扉を叩いて蹴っては大声で叫ぶ。
見かねた職員が説明に行くと男性はさらに激昂して大声を上げました。

そこへ近寄った一人の男性職員は胸ぐらをつかまれ、殴られてしまいます。

無抵抗の職員を見て、さすがに仲裁へ入り、緊急コールで男性職員とお局の連中を収集し、家族へ説明、即座に退所対応されました。

後のカンファレンスで殴られた職員は利用者さん相手なので無抵抗を演じたそうです。
ひどい外傷はなかったものの、大勢の老若男女がいるなかで一方的に殴られた心中を考えると心が痛みます。

利用者には疾患の影響は多少なりともあるでしょう。
しかし、のちの話では入所への不満がとても強かったそうです。

多くの介護士さんと接していると、このような話は時折、耳にします。

例えば、認知症や脳の外傷などで脳機能が低下してしまうと、感情コントロールが出来なくなったりします。

「歳を取ったら怒りっぽくなる」というのは脳機能の低下や原因疾患が隠れていたりします。

また、すべてが病気のせいではなく何かしら対応に足りない部分があったことも考えておく必要があります。

相手の背景も理解できるし、防げた可能性も考えられる。

そのため、介護士はストレスのやり場に困り、モヤモヤとジレンマを抱えます。

責任の所在について

bBearさん

 暴力事件では責任能力の有無を加味して、責任の所在について民法で定められています。

【責任能力】
第712条  未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

第713条  精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

【責任無能力者の監督義務者等の責任】
第714条  前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2  監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

湊総合法律事務所:https://www.kigyou-houmu.com/post-3260/

以下は「重度認知症高齢者の実例をもとにした責任の所在について」の記事です。

また、施設の規定にも入所者の暴力についての責任が明記されていたりするでしょう。

介護施設には安全配慮義務として「職員」と「利用者」の双方に安全義務を持ちます。

一時的な入所であっても、複数の利用者様を預かる限り、監督義務が生じます。

そのため、施設が暴言暴力を未対処にしたり、職員へ対して”暴言暴力は我慢、身を粉にして利用者へ尽くせ”とした場合、安全配慮義務に欠けます。

よく問題にしたくないからと暴言暴力を扱わない施設もありますが、最低な選択だと思います。

しっかりと被害を受けた職員へアフターケアを行い、経緯を調べる必要があります。

その上で介護サービスは適切だったか、予防や再発防止を考慮し、利用者・家族へ情報提供を行っていかなければなりません。

事件を目撃した時の心理学

ritomaruさん

 利用者や職員が暴力を振るわれているのを見かけた時、人はどのような心理が起こるのでしょうか?

有名なものにラタネとダーリーが提唱した「傍観者効果」があります。

傍観者効果とは「周囲の存在がある場合、介入行動を起こす確率が低くなる」というもので、3つのメカニズムが考えられています。

  • 多元的無知:助けに入らない周囲に合わせ、危機的状況じゃないと判断する。
  • 責任の拡散:周囲の他者が居ることで自分が必要ではないと判断する。
  • 評価懸念:適切な方法が分からないなどから失敗を恐れる。

さらに、ラタネとダーリーは人の緊急時の援助行動に対して、以下のような5段階のプロセスに分類しました。

  1. 深刻な事態が生じているという認識
  2. 危機的な事態であるかという認識
  3. 自分に援助をすべき責任があるかという認識
  4. 自分に助けられるもので助ける方法を知っているかという認識
  5. 実行を決断する

事件を目の前にしたら、人は瞬時にこのような判断をします。
そして、決断するのです。

実際の事件として、傍観者効果の研究もとになった「キティ・ジェノヴィース事件」があります。

「キティ・ジェノヴィース事件」

事件は1964年のニューヨーク、深夜の住宅街で起きました。
自宅アパート付近の駐車場にて女性が暴漢に襲われ刺殺されたのです。
殺害まで約30分
目撃者は約38名
通報者は0名

全員が「誰か助けるだろう」と考えて動けずにいたのです。

社会心理学にはこのような心理学が多くあります。

誰もがヒーローになる必要はないですが、考えさせられます。

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